アフタヌーンティーとは、19世紀のイギリスで生まれた伝統的な習慣です。
午後の小腹を満たす目的で始まり、紅茶とともに軽食やスイーツを楽しむ優雅なティータイムとして定着しました。
発祥のきっかけは、イギリスのベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアによるもの。
当時、夕食が遅い時間帯だったため、午後4時ごろに軽く食事をとる「午後のお茶会」を始めたのが起源と言われています。
現代のアフタヌーンティーは、紅茶とともに三段のティースタンドに盛りつけられた「セイボリー(軽食)」「スコーン」「スイーツ」を順に楽しむスタイルが一般的です。
基本的な順番は、
- セイボリー(サンドイッチなど)
- スコーン(クロテッドクリームやジャムを添えて)
- スイーツ(ケーキやマカロンなど)
この順番で、味のバランスと紅茶の風味を最大限に楽しむことができます。
ホテルのラウンジなどで提供される華やかなイメージがありますが、ポイントさえ押さえれば自宅でも十分に再現できます。
自宅アフタヌーンティーに必要なもの一覧【基本セット】
アフタヌーンティーを自宅で楽しむためには、特別な道具が必要と思われがちですが、実は基本的なアイテムをそろえるだけでも十分雰囲気を演出できます。
以下は、まず用意しておきたい基本セットです。
1. ティーポットとカップ&ソーサー
紅茶を美味しく淹れるためには、ティーポットは欠かせません。
ティーカップは、見た目が華やかなものを選ぶと気分も盛り上がります。
ソーサー付きのカップを選ぶと、より本格的な雰囲気に。
2. プレート(お皿)
三段スタンドがあれば理想的ですが、持っていない場合は大きさの違うプレートを重ねて段差を作る工夫も可能です。
最低でも、小皿を3種類(セイボリー用・スコーン用・スイーツ用)用意すると良いでしょう。
3. カトラリー(フォーク・ナイフ・スプーン)
スコーンを切るためのナイフ、小さなスイーツを食べるためのフォーク、紅茶用のスプーンなど。
小さめのカトラリーをそろえると見た目も可愛く、実用的です。
4. 紅茶(リーフ or ティーバッグ)
紅茶はアフタヌーンティーの主役とも言えます。
リーフタイプが本格的ですが、最近では高品質なティーバッグも増えており、気軽に楽しめます。
好みに応じてアールグレイ、ダージリン、アッサムなどを選びましょう。
5. テーブルクロスやランチョンマット
テーブルの印象を一気に変えるアイテムです。
白やパステルカラーなど、明るめの色合いを選ぶと清潔感と優雅さが出ます。
お花や小物と合わせると、さらに雰囲気がアップします。
紅茶の選び方と美味しい淹れ方のコツ
アフタヌーンティーの主役とも言える紅茶。
自宅で楽しむなら、無理なく続けられる好みの茶葉を見つけることが大切です。
ここでは、初心者でも失敗しにくい紅茶の選び方と、美味しく淹れるためのポイントを紹介します。
紅茶の種類と特徴
紅茶には多くの種類がありますが、アフタヌーンティーにおすすめなのは以下のようなクラシックな茶葉です。
- アールグレイ:ベルガモットの香りが特徴で、スイーツとの相性が抜群。
香りで高級感も演出できる。
- ダージリン:繊細で上品な味わい。
セイボリーとの相性も良く、最初の一杯におすすめ。
- アッサム:コクがありミルクティー向き。
スコーンや濃厚なスイーツと一緒に楽しむのに最適。
スーパーや専門店で販売されているもので十分です。
最初はティーバッグでも問題ありませんが、より香りや味を楽しみたい方にはリーフティー(茶葉)がおすすめです。
美味しく淹れるための基本のステップ
- ポットとカップを温める
お湯を少し注いで温めてから捨てることで、紅茶が冷めにくくなり、香りが引き立ちます。 - 茶葉の量を守る
ティーカップ1杯につき、茶葉は約2.5g(ティースプーン1杯)を目安に。 - 沸騰したてのお湯を使う
95~100℃のお湯を使うことで、茶葉の風味がしっかり抽出されます。 - 蒸らし時間を守る
蒸らし時間は茶葉によって異なりますが、一般的には3~5分が目安。
渋みが出ないようにタイマーを使うと安心です。
- 最後に茶こしで注ぐ
リーフティーの場合は、茶こしを使って茶葉を取り除きながら注ぐと、クリアで美しい紅茶になります。
一手間加えることで、紅茶の味もぐっと本格的になります。
慣れてきたら、自分好みのブレンドや、季節に合わせたフレーバーも試してみると楽しいですよ。
三段トレイがなくてもOK!おしゃれな盛り付けアイデア
アフタヌーンティーといえば三段トレイを思い浮かべる方も多いと思いますが、実はそれがなくても十分に雰囲気を出すことができます。
ここでは、身近なアイテムを使って見栄えよく盛り付けるアイデアをご紹介します。
家にあるプレートで段差を演出
大小さまざまなサイズの皿を使って、高さに変化をつけるだけでも立体感が出て、まるでカフェのような印象になります。
- 大皿(下段):サンドイッチやキッシュなどのセイボリーを
- 中皿(中段):スコーンをジャムやクロテッドクリームと一緒に
- 小皿(上段):ケーキやマカロンなどのスイーツを
高さを出すために、小さなカップやグラスを台にして皿を重ねるアレンジも可能です。
安定性には注意し、滑り止めシートなどを使うと安全です。
木製ボードやトレイを活用
ナチュラルな雰囲気を演出したいときは、ウッドボードやカフェ風のトレイがおすすめです。
スイーツやスコーンを無造作に並べるだけでも、あたたかみのあるスタイルに。
ガラス皿やケーキスタンドで華やかに
100円ショップやホームセンターなどでも手に入るガラスのケーキスタンドは、光を通す美しさがあり、テーブル全体を明るくしてくれます。
スイーツを中心に盛り付けると映えやすく、写真撮影にもぴったりです。
彩りにこだわると一気にプロっぽく
スイーツや軽食を選ぶ際、彩りに意識を向けるだけでも全体の印象が変わります。
たとえば、
- 赤(ベリー系のタルト)
- 黄色(レモンケーキやマンゴープリン)
- 緑(ピスタチオやハーブ)
など、色のバランスを取ると一気に“プロっぽい”見た目になります。
三段トレイがなくても、工夫ひとつで十分に雰囲気は演出できます。
見た目も楽しむのがアフタヌーンティーの醍醐味なので、自分らしい盛り付けを試してみましょう。
スイーツ&セイボリーのおすすめ組み合わせ例
アフタヌーンティーの魅力のひとつは、紅茶と一緒にいただく多彩な食べ物です。
ここでは、自宅で簡単に用意できるスイーツとセイボリー(軽食)のバランス良い組み合わせをご紹介します。
セイボリー(軽食)のアイデア
セイボリーは、甘くない塩気のあるメニュー。
紅茶の風味を引き立てつつ、お腹を適度に満たしてくれる役割があります。
- サンドイッチ:きゅうり&クリームチーズ/ハム&チーズ/たまごサンドなど
- キッシュ:市販の冷凍キッシュを温めるだけでもOK
- スモークサーモンのカナッペ:クラッカーやバゲットにのせて手軽に
- チーズ&クラッカー:種類の違うチーズを並べると見た目も華やか
味が重くなりすぎないよう、塩気は控えめなものを選ぶのがポイントです。
スコーン(中段)のアイデア
スコーンはアフタヌーンティーの定番。
焼きたてが理想ですが、市販のものでも十分楽しめます。
- プレーンスコーン:クロテッドクリームとジャムで王道スタイル
- 紅茶スコーン:アールグレイ入りの風味豊かなタイプ
- ミニサイズにして複数種を出す:バリエーションが楽しめて見た目も可愛い
スコーンが手に入らない場合は、スイートブレッドやビスケットなどで代用しても構いません。
スイーツ(甘味)のアイデア
最後の段は目にも楽しいスイーツたち。
彩りを意識するとテーブル全体が華やぎます。
- ミニカップケーキ:トッピングで季節感を演出
- マカロン:色とりどりで見た目のアクセントに
- フルーツタルト:フレッシュなフルーツで爽やかに
- チョコレートブラウニーやフィナンシェ:濃厚な味で締めくくり
市販のお菓子でも、盛り付け次第でぐっと高級感が出せます。
手作りにこだわらず、気軽に楽しむことが大切です。
セイボリー → スコーン → スイーツ の順で食べると、味の流れが自然で紅茶もより美味しく感じられます。
雰囲気作りも大事!テーブルコーディネートのポイント
アフタヌーンティーの楽しみは、紅茶やスイーツだけではありません。
テーブル全体の雰囲気を整えることで、より特別感のある時間を演出することができます。
ここでは、自宅でもできるシンプルかつ効果的なテーブルコーディネートのコツをご紹介します。
テーマカラーを決めて統一感を出す
まず意識したいのが「色の統一」です。
すべてを同じ色にする必要はありませんが、メインカラーを1~2色決めて、それに合わせてクロスや食器を選ぶだけで、全体のまとまりがぐっと良くなります。
おすすめの組み合わせ例:
- 白 × ゴールド:上品でホテルライクな雰囲気
- ピンク × ホワイト:可愛らしい雰囲気に
- グリーン × ベージュ:ナチュラルで落ち着いた印象
花やグリーンを添える
小さな花瓶に季節の花を一輪挿しするだけでも、テーブルが華やぎます。
造花やドライフラワーでもOK。
グリーンを少し添えるだけで自然な抜け感も生まれます。
もしスペースに余裕があれば、テーブル中央に小さなアレンジメントを置くのもおすすめです。
ランチョンマットやレースで表情をつける
シンプルなテーブルでも、レースや布製のランチョンマットを敷くだけで高級感が演出できます。
透明のガラス皿や白い食器と組み合わせると、スイーツや紅茶が引き立ちます。
小物やカトラリーにもひと工夫
スプーンやフォークにリボンを結ぶ、ナフキンを折って飾るなど、小さな工夫でも印象が大きく変わります。
また、ティースプーンやジャム用ナイフなどをセットしておくと、より本格的な雰囲気に。
照明と音楽で空間の質を高める
自然光が差し込む時間帯がおすすめですが、夜であればキャンドルや間接照明を使って柔らかな雰囲気に仕上げるのも素敵です。
BGMにクラシックやジャズを流すと、より非日常的な空気感を演出できます。
テーブルコーディネートに正解はありません。
自分らしさを大切にしながら、少しだけ特別な空間を演出してみてください。
まとめ:まずは気軽に、自分流で楽しもう!
アフタヌーンティーは、格式張ったイメージを持たれがちですが、実際には「紅茶と軽食を楽しむリラックスした時間」が本来の目的です。
本記事では、自宅でアフタヌーンティーを楽しむための基本的なセットアップ方法をご紹介してきました。
- 紅茶や食べ物の種類は、無理に本格的なものにこだわる必要はありません
- 三段トレイがなくても、盛り付けや彩りの工夫で十分に雰囲気は出せます
- テーブルコーディネートや小物使いで、日常の空間が非日常に変わります
「こうしなければいけない」というルールに縛られず、自分のペースで、自分の好きなものを並べて楽しむ。
そんな“自分流アフタヌーンティー”こそが、もっとも贅沢な時間なのかもしれません。
最初は市販のお菓子やティーバッグから始めても大丈夫です。
慣れてきたら、紅茶の種類を増やしたり、手作りスコーンに挑戦してみたり、自分なりのアップデートを楽しんでみてください。